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A Prayer For Owen Meany

大きな丸太を彫刻刀で毎日、ひとつずつ、少しずつ削ってゆく、例えて言うならそんな読書を体験することができました。

A Prayer for Owen Meany (Ballantine Reader's Circle) Book A Prayer for Owen Meany (Ballantine Reader's Circle)

著者:John Irving
販売元:Ballantine Books (P)
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ページ数: 617ページ

―― 僕は神さまを信じている。Owen Meanyがいてくれたからだ。

Owenがいなければ、僕は信仰心を持つことはなかっただろう。

僕の親友、Owen Meanyは、とても、とても背が低かった。あまりに小さくて、学校のいすに座っても足が床に届かなかった。あまりに軽くて、僕らはよく教会の日曜学校の日に、Owenをパスし合うゲームをして遊んだ。女の子でさえ、軽々と彼を放り投げることができた。Owen Meanyは、この地球上の生き物とは思えない奇妙な声をしていた。その声を聞くと、誰しもがぎょっとした。

僕は父親の顔を知らない。大好きな美人の母さんと、祖母が僕の家族だ。そしてOwenは僕のかけがえのない親友だった。僕の母さんのことを、Owenは大好きだった。僕と母さんとOwenは本当の家族みたいに、よく一緒に過ごした。

Owenは野球が大好きだった。野球カードの収集家でもあった。実際にプレーするには、彼は小さく、力がなさすぎた。バットを振ることさえままならない。けれど、ある日、僕らのチームの負け試合の最終回で、監督がOwenを打席に立たせてくれたのだ。そして、Owenが人生で初めてまともにバットに当たったボールは、試合観戦に来ていた僕の母さんに命中した。僕の母さんは、死んでしまった。

Owenは、自分は神さまに選ばれた道具なのだと言っていた。自分がひどく小さく生まれついたこと、人がおびえるほど奇妙な声を持って生まれついたこと、そして僕の母さんを死なせてしまったこと、すべては意味があることなのだと言っていた。

―― 自分は神の道具なのだと信じて、自分の使命を果たそうと生きていくOwenと僕の物語。

作家について

1942年、アメリカ、ニューハンプシャーに生まれる。レスリングの選手として、大学に入学。のちにレスリングを諦め、退学。アイオワ大学で、カート・ヴォネガットに師事。「ガープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」「サイダーハウス・ルール」など、評価の高い長大な作品を生み続けている。

こんな面白いHPを見つけましたので、紹介させていただきます♪

感想

いつも、このブログを書くときに悩んでしまうことがあります。読んでくださった方々に私の紹介した本の良いところが伝わって、手にとってみたいなあと思ってもらえるようにするには、どこまで書いたらいいのか、どんな風に書いたらいいのか…。あまり内容を書かないと本の魅力が伝わらないし、かといってあまり種明かしをしては、読む気が失せてしまうだろうし…。それぞれの本を前にしてどこまで書くか考えていると、だいたい頭の中で何となく決まってくるのですが、この作品については、うーん、本当は何も書かないのが一番いいのかもしれません。

Owenの親友である「僕」の一人称で物語は進んでゆきます。読んでいくうちに「僕」は1987年の現在、カナダのトロントにいることが分かります。そういえば、書き出しからOwenとの物語は全て過去形であることに気がつきます。

実はこの本を読んでいるうちに、私はこの作品を本当に読めているのだろうか、とものすごく自信をなくしてしまいました。教会のこと、キリスト教のこと、「キリスト降誕」の劇や、「クリスマス・キャロル」の劇、1950年代60年代のアメリカのこと、テレビの誕生、ニクソン、ケネディ、マリリン・モンロー、そしてあのベトナム戦争のこと。インターネットにずいぶん助けてもらいました。それでも、なお、調べても分からない何かが分からないままになっているような空しい気持ちが消えないときがありました。

けれど、読み終わって、感動が体中に広がったとき、何が分からなかったのか、ではなくて、これが分かったんだからいいじゃないかと、とてもさっぱりした気持ちになりました。本も人と同じように、優れているものは、どんな人の心も包みこんでくれる度量の大きさを持っているのだと思いました。

人には決して話すことのできない、わかってもらえないような、欠陥や傷や痛みを、私も誰しもが抱えています。

それを、なぜ自分だけ? 不公平だよ! ずるい!! と嘆いたり怒ったりするのも人生。

それを、意味があることなんだ、だからこそ自分なのだ、そこに使命があるのだと、前を向いて歩いてゆくのも人生。

とても奇妙で、とても滑稽で、とても悲しくて、とてもとても崇高なOwen Meanyにどうか皆さんも会いにいってみてください。

「The Cider House Rules」に続いて二冊目のジョン・アーヴィングさんの作品でした。本当に素晴らしい作家だなあと思います。同時代に生きていることに感謝したい思いです。「The Cider House Rules」について興味のある方は、難しい文学作品もどんどん原書で読破されている、憧れのリウマチばあちゃんさんの記事をご覧ください。(こちら)これまた素晴らしい作品です!

"THE COUNTRY WANTS A SAVIOR. THE COUNTRY IS A SUCKER FOR POWERFUL MEN WHO LOOK GOOD. WE THINK THEY'RE MORALISTS AND THEN THEY JUST USE US. THAT'S WHAT'S GOING TO HAPPEN TO YOU AND ME," said Owen Meany. "WE'RE GOING TO BE USED."

オウエンのために祈りを〈上〉 (新潮文庫) →こちら、和書「オーウェンのために祈りを」の上巻です。

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