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The Egyptologist

ページをめくると、エジプトの地図。地図が載っている本って、それだけで胸がおどりますね!ヽ(*゜∀゜*)ノ さて、どんな冒険が待ちかまえているのやら…。

The Egyptologist Book The Egyptologist

著者:Arthur Phillips
販売元:Random House Inc (P)
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ページ数: 383ページ

1922年の10月、イギリス人Ralph M. Trilipushは、エジプトの地に降り立った。多くのエジプト学者がその存在を疑う、エジプト中王国時代(およそ2100-1600B.C.)の最後の王、Atum-Haduの墓を探し出すためだった。財産家である婚約者Margaretの父親をパトロンに、彼はAtum-Haduが存在していることを信じ込んで、発掘に乗り出す。

その32年後、元探偵であったオーストラリア人Harold Ferrellは、1922年当時を振り返って、ある手紙を書いていた。彼は当時、大金持ちの男の相続人を探し出す捜査をうけおっていた。大金を手にする相続人だと思われるPaul Caldwellを探しはじめたが、Paulは第一次世界大戦中に、エジプトで軍隊の司令官であったHugo Marloweとともに消息を絶ったことが分かった。HugoはAtum-Haduについて述べられた書物をエジプトで発見したという。その書物が、親友と思われるRalph M. Trilipushの手に渡ったことを知ったFerrellはRalphの捜査を開始した。そしてRalphの嘘と謎に包まれた人生を知るうちに、FerrellはPaulとHugoの失踪がRalphと関係しているのではないかと疑いはじめる。

果たして、RalphはAtum-Haduの墓を見つけ出すことができるのか。果たして、Ferrellが考えている通り、Ralphは詐欺師でPaulとHugoの失踪と何か関係があるのか。

―― 日記、手紙、電報などで紡ぎだされる、エジプトにとりつかれた男と、Paul探しに執心する男の、謎と冒険の物語。

作家について

Arthur Phillipsは、ミネソタ州ミネアポリスで生まれる。子供のころは俳優であった。その後ジャズミュージシャン、スピーチライターとなり、事業家として大失敗したこともある。いわゆる老舗のクイズ番組「Jeopardy!」では5回チャンピオンになったことがあるという。本書は彼の二作目。一作目の「Prague」は7ヶ国語に翻訳され出版されている。現在妻と二人の子供とNY在住。(作者のHPはこちら

感想

1922年にエジプトで発掘に挑むRalphの日誌と、その当時に探偵をしていたFerellの32年後の手紙が同時進行で交互に語られてゆきます。全編、日誌、手紙、電報等で構成されています。

最初のRalphの印象は、”夢見る夢男くん(かんちがい含む)”という感じ。発掘をする前から、発掘後に出版する予定の本の自己紹介文をすでに考えているようなのですが、そこには来年(まだ発掘も始まっていないのに)、功績をたたえられて国から爵位を与えられることまで書かれています。さらに元探偵のFerrellの手紙で、Ralphの嘘が何となくばれてくると、もうRalphの行動全てが嘘くさくて、嘘くさくて…(´-ω-`)。RalphのAtum-Haduに関する記述も、もっともらしいことが書かれてあればあるほど、もう嘘のにおいがぷんぷんしてきて、読み飛ばし気味になってしまいました。

しかし、この「嘘くささ」は話が進行していくうちに、ゆっくりと変化していきます。一つ一つの証拠を組み立てながら捜査を進めているように見えるFerrell。けれど、手紙を読んでいくうちにFerrellの思い込みが彼にとりついていくのが分かります。逆にAtum-Haduは存在したのだと信じきっているRalph、彼の目を通して映し出される真実の世界に自分がのみこまれていくのに気がつきます。そして徐々に、どちらの言っていることが本当なのか、何が真実なのか、分からなくなっていきました。

どうしてこんなにそれぞれの人の目にうつる「真実」は違うのだろうということが気になってきます。そしてこの二人の男は、確かに追い求めているものは違っているけれど、何でこんなに自分の思い込んでいる「真実」にこだわるのだろう、と気になってきます。「一歩ひいて物事を見てごらん」と言いたいところなのですが、けれどそれが言えない自分であることに気がつきます。そんなことは百も承知なんだけれど、できないのが人間なのかもしれません。

そして、人が何かに固執するときにはそこに「理由」があるものです。その執念が強ければ強いほど、その心の奥にはひっそりと深い闇が広がっているものです。

この作品では最後にもう一つ大きなひねりが用意されています。もっと底を流れている本当の大きな謎への、作者の声が伝わってくるようです。

最後になってあの嘘くさーいと感じて読み飛ばし気味だった、RalphのAtum-Haduについての記述を、もう少しまじめに読めばよかったなあと思いました。そこには、決して日誌では分かることのできない、黒々とした「理由」が潜んでいるに違いないからです。

夏が終わってブログを再開してからは、当たりの本ばかりです!(*^-^*)さてさて次は何読もうかなあ…。

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