「深読み」への道(その四)
今回はシェイクスピアに挑戦。
本当は本をとっくの前にとりよせてあったのですが、そのまま積んでありました。
解説、批評、考察、研究、パロディ、オマージュ、引用、エッセイから感想文まで、シェイクスピアに関連するものすごい量の文章が出回っています。正直すこし腰がひけました。
「聖書」では、そちらのほうに目が向いてしまって大失敗した私。
今回は四の五のいわずに、とにかく作品をガシガシ、メリメリ、読み進めていくことにしました。
よく分からず注文した「ハムレット」。何でハムレットなのかと訊かれても「何となくタイトルがいいなあ、と思って…。」という阿呆な答えしか思いつかない状態。
![]() |
![]() |
Hamlet (New Folger Library Shakespeare) 著者:William Shakespeare |
けれど、シェイクスピアの作品の分析も評価も置いておいて、まずは劇場に足を運んだ当時の人々のように、まあ分かるも分からないも気にせずに、頭からばりばり食べていこうと思いました。
さてさて、物語はどんな風にはじまるのかなあ。
お、見張り番の交代からか…。(こういうときは何か事件が起こるのよね)
"Enter Ghost."
うわ、展開はや! もう事件が。
"Ghost exits."
あれ、いなくなっちゃった。うーん、それにしてもだんだん登場人物の会話が長くなってきた。何言ってんだか分からないところもあるよー。ト書きは分かるんだけどねぇ。
―― 話は変わりますが、ここジョージアも秋、すばらしい季節となりました。いつもの窓際ソファでの読書がいちだんと心地の良いこの頃です。木々が太陽の光を和らげてくれてふんわり暖かく、窓を開けると風がさらさらと入ってくる。その拍子に鳥の声なんか聞こえたりして…。母の送ってくれた緑茶を友に、本のページをめくりつつ。お気に入りのピアノ曲を小さな音でかけながら…。
―― ―― ……… Oo。。( ̄¬ ̄*) ZZZZZZZZ
あ。
寝ちゃった…。
というわけで、ばりばりのばの字も味わう暇なく挫折してしまいました。また「聖書」の二の舞は踏みたくないので、今回はさくっと日本語の本を取り寄せちゃいました。
こちら→
![]() |
ハムレット (新潮文庫) 著者:福田 恒存,シェイクスピア |
そして平行して読んでいきました。結果、あっという間に終わってしまいました。実は夢中になって読んでました。日本語の助けが大きかったと思いますが、物語を読む喜びをたっぷりと味わえた気がします。解説やら評論やらを前もって読んでおかなくてよかったなあと心から思いました。自分を責めたり、感情的になったりするハムレットが、妙に悟りを開いたようなことを言ったり、けっこうあっさりと家臣の一人を刺してしまったり、そのずれ具合が興味津々でした。それから日本語訳の読んでいて気持ちの良いこと、愉快な気分になっちゃいました。戯曲ですから、当たり前なのですが、やはり英語ででも日本語ででも、一度は舞台で「声」でこの作品を味わってみたいです。
さあ、ここまで波に乗れたらしめたもの。「リア王」も「マクベス」も「夏の夜の夢」だって挑戦だ!と思ったのですが、日本語の本はこちらで買うと高いので…(汗)。けちくさいようですが、手元にある「ハムレット」をもう少し深めてみようと思います!ヾ(´▽`*;)ゝ"
”それでも、この辛い人生の坂道を、不平たらたら、汗水たらしてのぼって行くのも、なんのことはない、ただ死後に一抹の不安が残ればこそ。”
”来るべきものは、いま来なくとも、いずれは来る―― いま来れば、あとには来ない―― あとに来なければ、いま来るだけのこと―― 肝腎なのは覚悟だ。いつ死んだらいいか、そんなことは考えてみたところで、誰にもわかりますまい。所詮、あなたまかせさ。”
もう少し「ハムレット」を深めるにあたって、力を借りようと思うのが、iTunes Store に新しく加わったサービス、iTunes U。こちらでは主にアメリカの大学の講義を聴くことができるようです。
Stanford大学の「The Literature of Crisis」というコース(くわしくはこちら)に「ハムレット」の講義があることを発見。聴いてみることにします。講義要綱(syllabus)も取れるし、すっかり自分も学生になった気分♪(かなり無理がありますが)
ちなみに「このコースを始めるにあたって」みたいな講義の回(Course Ideas Overview)と読んだことないくせに「Oedipus the King」の第一回を聴きましたが、なんだか年甲斐もなく学問を志す若人のような気分になってジーンとしてしまいました。何回も聴き返せるし、他のコースでも興味があるものはトライしてみようかなーなんて思っています。
今回はゆる~い文章で「深読み」への道(その四)をお届けいたしました。しばらくは肩の力をぬいて(あ、でも寝ちゃわない程度に)「ハムレット」の講義に耳を傾けてみようと思いますヽ(*゜∀゜*)ノ
« Unless | トップページ | The Egyptologist »
コメント
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/166513/8607521
この記事へのトラックバック一覧です: 「深読み」への道(その四):
いつも楽しくブログ拝見させていただいてます。オーストラリアに住んでいるのですが、最近iPodでポッドキャスティングを聞くことが多いので、スタンフォード大学ののThe Literature of Crisis早速ダウンロードしてます。おもしろそうですね!
ハムレット関係ですが、トム・ストッパードの「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という戯曲もとってもおもしろいです。映画になったのでご存知かもしれませんが。
あと、シェイクスピアでは、BBCがSakespeare Retoldというシェイクスピアの物語を現代に置き換えたドラマを近年製作しているのですが、これがなかなかおもしろかったです。
http://www.bbc.co.uk/drama/shakespeare/tvdramas.shtml
投稿: Johnnycake | 2007年10月23日 (火) 19時38分
Johnnycakeさん
はじめまして。私のブログに遊びに来ていただいてありがとうございます(*^^*)。
今オーストラリアにお住まいなんですね。行ったことがないので、どんなところなのかとっても興味があります!
>ハムレット関係ですが、トム・ストッパードの「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という戯曲もとってもおもしろいです。
これは、おもしろそうですね!この二人は確かイギリスでさくっと処刑されてしまうという、何ともかわいそうな脇役だったように思います。ハムレット関係の作品、もっと色々読みたいと思っていました。映画もあるならDVDも探してみようかしら。そして、BBCのドラマのほうもすごく興味があります。うちのテレビでは残念ながらBBCは映らないのですが、もしかしたらDVDで出ているかなあ。これまた探してみようと思います(*^-^*)。いろいろ情報をありがとうございました!Johnnycakeさん、これからも気が向いたらぜひ遊びにきてくださいね。
投稿: niko | 2007年10月25日 (木) 04時03分
「深読み」への道、一歩一歩確実に歩んでいらっしゃいますね。
シェークスピア!そうなんですよね~、英文学をきちんと理解するには、それこそ深読みするには、シェークスピアを読んでいなくっちゃなぁと思いつつ、日本語でもほとんどよんでいません。ついつい「英語で!」とおもいつつ、手をつけていないので、いっそのこと、日本語訳から読み始めて、Nikoさんのように楽しくよめればいいんですよね。
nikoさんのブログから、いつもいい刺激をいただいています♪
投稿: michi | 2007年10月26日 (金) 21時43分
michiさん
「深読み」への道、あまり前進はしていないみたいです…。今回のは、どっちかというと楽しんだだけで終わっちゃった感じかも。けれど、シェイクスピアの作品を読むことになったきっかけが「深読み」のためだったので、目が向いたというだけで良かったのかなあと無理やりこじつけて一人うなずいております。日本語の訳文がとってもリズムよくて、読んでいて心地よかったです(*^-^*)。こんなゆる~い文章ですが、読んでいただいてありがとうございました。
投稿: niko | 2007年10月28日 (日) 08時33分
nikoさん おはようございます。
こちらは今、白い銀木犀の花が香り木々の葉が色づいて秋の気配が日増しに濃くなってきました。
いつもいつも読み応えのある文章をとっても興味深く楽しみに読ませて頂いています。
深読みシリーズいろいろ教えて頂けてほんとにありがたかったです。
今また無謀な読書を始めてしまって、(歯なしの赤ちゃんが草加せんべいかじるような・と自分でイメージしてしまいます)でももっと気楽に現代語訳を片手に楽しみながらもう少しがんばってみようと思います。
投稿: | 2007年11月 3日 (土) 08時02分
すみません!名無しのコメントは私さくらです!(汗、汗)
投稿: さくら | 2007年11月 3日 (土) 08時04分
さくらさん
こんにちは。さくらさんの「源氏物語」を英語で読むというチャレンジには、本当に感動しています。そして、さくらさんの記事を読みながら、英語で読むことで日本語でさらさら読んでいては気がつかなかったことがたくさん見えてくるようで、日本語の(そして英語の)奥深さを再認識させられるようです。でも、さくらさんのおっしゃるとおり、長くて厳しい旅になりそうなときは、たまには無理せず休んだり、列車や飛行機を使うように少し楽をしたり、違う場所にも行ってみたりで、いいのではないかなあと思っています。目的地までの力の出し具合を調節しながら進んでいけたらなあと思います。(*^^*)
投稿: niko | 2007年11月 4日 (日) 02時36分