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Persepolis

私が時折チェックしている、英語圏のブログやサイトで話題になっていたこの本。表紙の女の子に一目ぼれをして思わず購入してしまいました。

Persepolis: The Story of a Childhood Book Persepolis: The Story of a Childhood

著者:Marjane Satrapi
販売元:Pantheon Books
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ページ数: 160ページ

作品区分: その他

この作品は、作者自身のイランで過ごした子供時代の回想記で、漫画です。今回はあらすじを書くより、作者自身が過ごしたイランという国がどんな風だったかについて説明したほうが、よりこの本の良さが分かってもらえるかなあと思います。少し漢字の多い黒々とした文章が続きますが、どうかおつきあいくださいねヽ(*゜∀゜*)ノ (以下「Wikipedia」を参考にしました)

1908年にイランで「石油」が発見されて以来、周りの国々は石油をねらって画策を続けていました。そんな国々の一つ、英国の援助によって、レザー・シャーが即位し、イランの近代化がはじまったと言われています。しかし彼は英国の立場をじょじょに弱めていく方向へ動いたため、英国により強制退位させられ、その子、モハンメド・レザー・シャーが後を継ぐことになります。

1951年には民族主義者であるモハンメド・モサッデグが首相に選ばれたにもかかわらず、数日後にはCIAとアメリカ政府の画策によってシャーが復位するなど、イランは石油を狙う国々に振り回されることとなります。このときシャーは見返りとして、米40%、英40%等、他国へ石油の利益を譲渡する、という契約にサインしています。

こんなんで、国が安定するわけがありませんね。(´-ω-`)

SAVAK(国家情報安全機関)と呼ばれる秘密警察は反政治活動をしたことを理由に、当時大勢の国民を殺しました。このSAVAKを含めた政治に対する不満が、国の背後に立つアメリカや西欧文化に対する反感へとつながっていったとも考えられています。人々の不満はつのり、ついに「イスラム革命」が起こり、1979年ホメイニーが最高指導者としてその座を獲得します。

けれど左に大きくふれた振り子は今度は右に大きくふれることとなります(。・o・。)ノ

新政府は非常に保守的で、西欧文化は禁止され、国の徹底的なイスラム化が断行されました。同じ年に「アメリカ大使館占拠事件」が起き、合衆国との国交は断絶。1980年「イラン・イラク戦争」が始まります。この戦争でイスラム革命をくいとめたいアメリカ、欧州諸国はイラクを支援します。ソ連もまた革命の火が国内へ飛火することを恐れて、イラクを支援しています。孤立したイランはこの戦争で武器の調達のため、北朝鮮に急速に接近したと言われています。この戦争は、8年間も続きました。

―― 長くなりましたが、こんな時代のイランで暮らす女の子の物語です。

作家について

作家「Marjane Satrapi」は1969年にイランで生まれ、少女時代を首都テヘランで過ごす。ウィーンへ留学したのち、フランスで「illustration」の勉強をする。本作品は2007年にアニメ映画化が決まっている。英語版では続編「Persepolis2」が出版されている。

作者のサイトはこちら

「Persepolis」映画のサイトはこちら

感想

素朴でシンプルなイラストと心にしみいる言葉で彼女の少女時代がつづられています。主人公の少女が大人っぽくて深い洞察力に満ちているのは、困難な時代をすごしたこともありますが、彼女自身が吸収し、考え、行動する素晴らしい人間性を持った女の子であったことも大きいのではないかと感じました。

上に書かせてもらったイランについての説明を読んでいただければ分かってもらえると思いますが、決して明るく幸せな状況下での話ではありません。

だけどなぜか全編に漂うおかしさ、ユーモア。

内容はあまり話したくはないのですが、少しだけ。

刑務所でひどい拷問を何年も受けてきた知り合いの人たちは、解放されたあと、まるで家の近くで自動車が衝突した事件を分析するみたいに、淡々と拷問の方法について話します。

主人公の少女は、それを聞いてありとあらゆる拷問を友達とためしに考え出してみます。ゴミを口いっぱいにほおばる、腕をねじってみる…

最近思うのですが、倒れそうになった人を最後に救うのは、鳥にでもなったつもりで自分を空から見てみて、それを「笑い」に変えてしまうような、そんな力なのかもしれません。

それでもやはりこれは、悲しく、重たい物語です。

最後のページの絵と下に書かれた短い一文を、私は忘れることができません。

絵の力を借りてぐんぐん読み進めることができました。漫画が苦手だという方、どうか敬遠しないで手にとってみてください。これは素晴らしい「本」です!!

最後に冒頭の作者の言葉を引用したいと思います。

I also don't want those Iranians who lost their lives in prisons defending freedom, who died in the war against Ilaq, who suffered under various repressive regimes, or who were forced to leave their families and flee their homeland to be forgotten.

One can forgive but one should never forget.

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